京都嵯峨の清凉寺にある釈迦如来立像は東大寺の僧奝然が寛和2年(986)宋より護持し、入洛したが、後世に多くの模作が現れ、これを清凉寺式釈迦如来立像と呼んでいる。
この像は、縄目状の編髪、水波状の衣文を示す通肩の衲衣など、清凉寺式の特徴をよく表しており、像高92.3cmの寄木造り。
彫眼であり、肉髻珠には水晶をいれ、白亳は欠失していたが、平成7年10月に修復した。螺髪は巻縄状に切付とする。頭部は一木であり、体幹部に差首とする。体幹部は前、中、背面と3材からなり、中を内刳り風に仕上げている。また背面左肩部に上下2材の別材を寄せる。背面の腰部に3.8cm×11.5cmのが窓あるが、胎内納入物は現在残されていない。室町時代に製作されたものである。
なお、この形式の像は関西に多く、埼玉では行田市にあり、秩父では唯一のものである。