里宮の社務所は3部屋に間仕切りできる建物で、間仕切には極彩色の彫刻欄間をはめ、杉戸には全て絵画が描かれている(前出No10)。欄間は3種類ある。
一つは武甲山の霊験と信仰を表したもので、3面1組(縦68.2cm、横174.5cm)で、裏表6面の欄間に丹念な刀さばきで風景、人物を彫りつけている。
二つめは書院欄間で、七福神の内、弁財天と寿老人を除く5福神が宴に興じようとしているところで、厚板1枚を用いている(縦25.0、横176.3cm)。
これら2つの作品は彫りの調子に共通したところがあり、同一作者による同時期の作品とみられる。
三つめは、中央に波に日の出、向かって左に亀、右に鶴をあらわし、その裏側中央には、雲に日の出、上述の鶴の裏側には鳳凰、亀の裏側には麒麟が彫られている(縦68.5cm、横173.5cm)。