芦ケ久保の入山地区の追分にあり、ミツデカエデの大木の下の秩父側に立てられている高さ90cm、幅46cm の自然石の道標である。
右は名栗・八王子と記され、山伏峠を越え、名栗村で、根古屋の生川沿いから妻坂峠を越えてくる道と合流し、青梅・八王子へと通じている名栗街道を示す。
左は子の権現・江戸と記され、旧正丸峠を越え、吾野、飯能をとおり、川越・江戸へと向かう秩父街道を示している。
この他、横瀬地区には元禄から宝永年間にかけて造られた、秩父札所の巡礼の道標が20数カ所に及び、建てられている。
また、北東約500~600m離れた柏木というところで、昭和12年、炭焼窯を造成中、渡来銭の入った甕(鎌倉時代末頃)が発見されており、これは備蓄銭と考えられ、この場所が城跡と伝えられることと関連する。これらは旧正丸峠の登り口であり、名栗街道との分岐点という交通の要衝に位置しており、この道標の意義の重要さを示唆している。